ウエッブサイトへの掲載を了承頂きましたので、随時画像の方をアップさせて頂きます。
今回Ferrari F360 定期チェック御依頼誠に有り難う御座います。
弊社4t積載車が、お引取りさせて頂きましたF360を積んでファクトリーに戻って参りました。
只今よりご入庫時のエクステリア&インテリアの傷などのチェックに入らせて頂きます。
ご期待にお答えする各部のチェック及びメンテナンスを実施させて頂きますので宜しくお願い致します。
フェラーリ F360 モデナ 定期チェック開始準備の為、リフトセクションへと……
まず、第1段階。
Ferrari純正車両診断テスター SD2を、Ferrari F360 モデナ 車輌コントロールユニットに接続。
ECUと交信開始です。
ErrorコードのみのチェックではなくFerrari純正車両診断テスター SD2で、マシン全体のエレクトロニクス関連の状態や、調整の状態を詳細に把握します。
各部の作動状況や出力波形に至るまで、コンピューター上で、できうる全てのエレクトロニクス関連のチェックを行い現状のマシンの状態を把握します。
ボデープロテクターの装着。
心臓部は、3.6L V8気筒40バルブ。
355譲りの1気筒5バルブは、バルブリフト量が少なく高回転化が可能になるF131B。
5バルブは、燃焼室の形状が偏平で表面積の広い多球状になる為、熱損失が大きくなり、燃焼効率が良くないなどの問題点も有り。
F430では、4バルブに変更されています。
高回転化すると低 中速トルクが痩せる為、それを回避する様々な可変機構が加えられピークパワーは、400PSに。
エンジンマネージメントシステムは ボッシュ製モトロニック7.3までアップ。
エンジン内部はシリンダーブロックとヘッド、サンプに軽合金、コンロッドにチタン、ピストンに鋳造アルミニウムを採用し、圧縮比も11.0:1 にまで高められたF131B型。
Ferrari純正 車両診断テスターSD2で取得した各部のデーター。
現状のF360 モデナ マシン全体のエレクトロニクスパーツの作動状況。
また、メカニカルの作動また、セット状況。
各部のデーターを取得。
最新のデーターとも比較します。
マシンのエレクトロニクス関連の状態を全て把握しました。
これより、SD2で取得したデーターは、あくまでもデーターとし受け止めます。
データー全てを鵜呑みにせず、基本作動が適正値内で確実に作動しているかを専用機器を使用し単体点検を実施。
更に奥深くまで、独自のチェックを進めます。
エレクトロニクス関連を、大きく分別すると下記の3項目が代表的な項目です。
1 入力: 電子的・機械的なセンサ(または変換器)で、温度、圧力、電磁場等の物理量をシステムの外部から取得して、電流信号や電圧信号に変換するあらゆるチェック。
2 信号処理回路: 組み合わされた電子素子により信号を操作し、解釈したり、変換したりする個所のチェック。
3 出力: アクチュエータや他の素子(変換器も含む)により、電流・電圧信号をマシン システムにとって有用な形態に再変換されているかなどのチェック。
この3項目からまだまだ、項目別に分類しチェックを行います。
続いて、メカニカル関連のチェック。
年数的、指定交換パーツ。
走行距離的、指定交換パーツ。
F360 モデル毎に傾向的不具合発生ポイントが存在します。
また、マシンの使用状況や、保管状態により、個々のマシンの状態が全く違いますので同時に的確なチェックが行なわれます。
指定交換パーツの中には、色々な素材のパーツが有ります。
代表的な素材の指定交換パーツの1部。
1 ラバーパーツなどは、光やオゾンによる酸化で弾性が失われ、亀裂や溶解がある程度の年数で起こってしまいます。
2 金属製パーツでは、継続的に、また繰り返しマシンより受ける衝撃や、恒に動いている作動パーツに金属材料としての強度が低下し、疲労が発生してしまうパーツ。
3 金属だけではなく樹脂パーツやカーボンパーツでも劣化は発生します。
指定交換に列記されているパーツでも必ず交換しないといけないと言うわけでは有りません。
的確なチェックで判断します。
通常オーナーが分からない間に不具合が発生している場合が多いのは確かです。
マシン全体の的確なチェックで不具合が在る場合には根本から見極め主原因ポイントを確定します。
2次的不具合の誘発を回避する事が出来 現状のマシンの状態をつぶさに知っておく事が大切です。
エンジンオイルの状態。
通常の状態では無いです。
全てのチェックが終了したF360。
担当エンジニアが確実に現状のマシンの状態を把握し切らせて頂きました。
内容をまとめ、現状のマシンの状態を分かり易く明記し送付させて頂いた上、御連絡させて頂きます。
今回のメンテナンス個所&今後のメンテナンス個所。
現状のマシンの状態を全て記載した報告書を送付させて頂き、その中でご予算に合わせ決定しました今回のメンテナンスメニュー。
パーツ入荷次第、実作業に入らせて頂きますので宜しくお願い致します。
Ferrari F360 モデナ 開始の為、リフトセクションへと…
まず油脂類の交換から…
一言で油脂類と言っても、マシンには、色々な油脂類で潤滑や、油圧の発生による作動が常に行われています。
エンジンオイル&オイルフィルター ミッションオイル F1マチックオイル ブレーキオイル クラッチオイル パワーステアリングオイル エンジン冷却水などなど…
FerrariやLamborghiniなどのスーパースポーツマシンは高速走行などが多い為、エンジンオイルだけでは無く、他の部位のオイルも頻繁に酷使されるので確実なスパンでの交換が必要です。
各油脂類は、色々と各社ラインナップが有りますが、メリットとデメリットが有り、マシンモデル毎また、使用する部位また、マシンの使用用途などを全て加味し、1番適切なオイルを、弊社では選択します。
メーカー指定純正オイルが1番無難と言えば無難なのですが、全てのモデルに1番適切なオイルかと言えば疑問です。
新車時のエンジンに注入されているオイルは、メーカー指定純正オイルでは無く、初期馴染みなどなどを考慮した、ファクトリー専用の非常に高額なオイルです(一般には流通しない特殊な高性能オイル)。決してメーカー指定純正オイルでは無いんです。
モデル毎にオイルに添加されている成分内容や粘度などなど…を変更しベストなオイルをチョイスし、交換する事により、より一層マシンをベストな状態へと導きます。
エンジンオイルでは、潤滑 冷却 防錆 応力分散 密閉作用 洗浄作用の6つの作用が求められます。
マシンやモデルまた、使用用途に応じてオイル成分や、粘度などなど……選択します。
まず、エンジンオイルの交換。
今回はオーナーのご要望により1度交換し、今後の状況を見てみる事に...
オイルの劣化度は、目で見る 触るなど簡単な方法で判断しにくい物です。
真っ黒になったオイルや、異臭 変色している物は別ですが…..
通常、使用期間や走行距離で判断します。
各オイル類には全て食品と同じ様に賞味期限が有ります。
賞味期限切れでは本来の性能を発揮できずマシンを痛めてしまいます。
劣化の発生は、外気による酸化、メカニカル圧力によるオイル分子のせんだん、熱、、ブローバイガス内のフューエルの混入で劣化していくのが一般的です。
エンジンオイルは、ベースオイルで色々と分類されます。
鉱物油
部分合成油
化学合成油
PAO
エステル
植物油
規格で分けると…
API規格
ILSAC規格
SAE規格
ACEA規格
JASO規格
粘度による分類では…
SAE粘度
HTHS粘度
モデル毎にオイルに添加されている成分内容や粘度などなど…を変更しベストなオイルをチョイスし交換する事により、より一層マシンをベストな状態へと導きます。
ドレンプラグのクリーニングアップ。
締め付けたガスケットは再使用しません。
クリーンな状態で組み込みます。
続いて、オイルエレメントの交換。
エンジンオイルにはエンジン内部を清浄に保つ為にオイル中の汚れやゴミを取り込むオイルフィルターがありますね。
オイルフィルターがあると、エンジンオイルがそこを通過することにより、オイル内に取り込まれていた金属粉やスラッジ(ホコリや燃焼カスなどの不純物)が濾し取られます。
特に金属粉は、放置すると研磨剤と同様の効果をエンジン内に及ぼしてエンジン損傷の原因になる為、その除去は重要です。
オイルフィルターのろ過能力は上げ過ぎると油圧上昇や目詰まりなどの不具合を引き起こす可能性がある為にその性能はある一定のところで抑えられています。
その為オイルフィルターですべての金属粉やスラッジ等が除去できる訳ではないんです。
また、オイルフィルターの能力が低下し目詰まりを起こした場合を想定してバイパス機構を備えています。
フィルターが目詰まりしてエンジン内各所にオイルが供給できなくなると、エンジンが焼き付く原因となるからです。
ただしこの機構はあくまで非常用であり、的確なスパンでの交換が必要です。
また、交換時は的確なトルク管理の下での交換が必要です。
フランジや、その周辺に付着している砂や埃を取り除きクリーンな状態に…
ニューパーツを基本締め付けトルクで組み込みます。
続いてミッションオイルの交換。
エンジンオイルの交換はオーナーが1番気にし交換されますが、ミッションオイルも忘れてはいけない油脂類の1つ。
ギヤーの焼き付きを避け、またシフトフィーリングまでよくなるミッションオイル。
シフト操作をするとミッション内部で大きなギヤーが噛み合ったり、外れたりしますよね。
ギヤーオイルには、潤滑 冷却 防錆 応力分散の4つの作用が求められます。
エンジンオイルでは、これに加えて密閉作用や洗浄作用が要求されますがギヤーオイルの場合この効果はほとんど必要が無いでしょう。
それよりも重視されるのが応力分散作用ですね。 この作用がしっかりと発揮できるミッションオイルを使用しないと、ギヤーの焼き付きなどのダメージに繋がったり、シフトフィールの悪化に直結します。
マシンやモデルまた、使用用途に応じてベストなオイル成分や、粘度などなど……選択します。
ミッションオイルもかなり使い込まれている様ですね。
もう少し早めの交換をお奨めします。
交換を適切なスパンで行なわれていなかったか、マシンポテンシャルに対応不足のオイルが注入されていたか?
ドレンにミッション内部の金属粉が...
応力分散が不足していたのでしょうね。
ミッションも破損すると非常に高額なリペアになるので、交換スパンはキッチリと…
ドレンプラグもクリーニングアップ。
エンジン冷却水の交換。
エンジン冷却水は、エンジンオイルと同様、重要な役割を果たす液体です。
主成分はエチレングリコールという化合物と水で構成されています。
高温なエンジンを恒に冷却する役割を果たしています。
また、ラジエーターやエンジンブロックで使用される構成パーツに錆が発生しない様にする役目や、消泡性能などなど…もかね合わせています。
エンジン稼動時には、常に高温にさらされる為、エンジン冷却水も劣化します。
エンジン冷却水には、さまざまな化合物が含まれています。
エンジンオイル同様に長期使用せず、1年に1回酷使されたエンジン冷却水を交換することにより、本来の性能を発揮させ、エンジンを守ります。
続いてブレーキオイルの交換。
リザーバタンク内部底に、大気中の水分を吸って加水した浮遊物が貯まっています。
この状態ではブレーキシステム構成パーツに悪影響を与えるばかりか、作動不良またオイル漏れを引き起こしてしまいます。
リザーバタンク内部まで完璧にクリーニングアップ。
浮遊物も完全に除去。
クリーンな状態からブレーキオイルの交換に入ります。
メンテナンス&クリーニングアップには美観だけでは無く、全て理由が有ります。
リザーバタンク内部を完璧にクリーニングアップ。
新しいブレーキオイルを給油圧送しオイルライン最後部より交換。
交換完了。
ブレーキオイル交換と同時に、周辺部分もクリーニングアップ。
スッキリクリーンな状態に…
パワーステアリングオイルの交換。
パワーステアリングは、エンジンの出力を利用してポンプを作動させることで高圧な油圧発生させ、その力でステアリング回転力を軽減する部位。
ラック&ピニオン式とボールネジ式に大別されます。
また、スピードを感知することによりアシスト力を制御するパワーステアリングも有ります。
F360は、油圧式。
油圧式を採用する利点に、自然なステアリングフィーリングが得られると共に、ドライビングプレジャーを追求出来ます。
パワーステアリングオイルの劣化が進んだ場合には、パワーロスによる操作性悪化やポンプからのオイル漏れが発生するなど、2次的不具合を誘発させます。 的確な交換距離及び年数での交換が必要です。
パワーステアリングオイル交換と同時に、周辺部分もクリーニングアップ。
交換終了。
続いてエアーフィルターの清掃。
エアーフィルターは、ダストの清浄効率と捕捉能力を備えたパーツ。
使用許容範囲を超えるとフィルター抵抗が大きくなりフレッシュエアーの吸入を妨げます。
エアークリーナーBOX。
内部には砂や塵が付着しているのでエアーフィルターの清掃と同時にBOX内部もクリーニングアップします。
BOX内部もクリーンな状態に...
清掃したエアーフィルターを組み込み。
アウターケースまた、周辺部分もクリーニングアップし清掃終了。
続いてスパークプラグの交換&ダイレクトイグニッションのメンテナンスへと...
ダイレクトイグニッション システムは性能向上が限界に達していた従来の機械式の点火システムに代わって開発された電気式の点火システムです。
ダイレクトイグニション以前のマシンでは、点火コイルで発生させた点火信号を、カムシャフトと直結したロータリースイッチのディストリビューターで、各気筒のプラグに点火信号を分配するタイプでした。
機械的なディストリビューターは、近年の高回転エンジンに対応できないまた、電気接点の磨耗や接触不良の発生、また接点スパークの発生によりノイズの発生等の問題が有りましたが、その問題をクリアーしたのがダイレクトイグニッション システムです。
最大のメリットは、プラグコードを必要とせず、電圧のロスを最小限に抑え、燃焼効率が良く、強大なトルクが得られます。
センサーで点火時期を算出し、インジェクションもECUが包括制御を行う事で全回転域において安定した点火と電カ供給を可能とするシステムです。
デメリットとしては、各部電圧のトータルバランスが取りにくく、アーシングや電子機器を装着するとバランスが崩れ本来の性能が発揮できなくなってしまう場合も見受けられますね。
定期的な単体チェック&メンテナンスを行い、ダイレクトイグニッション システムの性能を最大に発揮させます。
スパークプラグの交換。
フルインジェクション化に伴い、いまでは、余り気を使わなくなったスパークプラグ。
3年以内または走行2万キロを目安にパーツそのものを一新する事が必須。
上が使用限度を超えたスパークプラグ。
下がニューパーツ。
8気筒全て交換。
8気筒のダイレクトイグニション システム 全ての独自のメンテナンス完了。
300k近くで走るロードゴーイングマシン。
定期的な、足回り&マシン全体のトルク管理が必要です。
各部の調整と同時に締め付けトルクのチェックまた、サスペンションシステムも本来のパフォーマンスを発揮出来るようメンテナンスを行います。
同時に分解時にしか出来ないフェンダー内部の隅々まで、クリーンニグアップします。
中々オーナーが目にする事の無い部分。
また、雨天使用しなくてもダストや、砂などが付着してしまう部分。
現状のフロントフェンダー内部の画像です。
フロント同様にメンテナンス&クリーニングアップを行ないます。
サスペンションシステムも本来のパフォーマンスを発揮出来るようメンテナンス完了。
ダストや、砂などをクリーニングアップする事により、本来の機能がより機敏になると共にクリーンな状態を取り戻しました。
きめ細やかなメンテナンス&クリーニングアップが、担当エンジニアにより随所に施されています。
同じくリヤーサスペンションシステム。
続いてホイールのクリーニングアップ&メンテナンスへと...
ホイールの現状の画像です。
ブレーキダストなどの汚れが付着してしまっているホイール。
4輪全てクリーニングアップ開始です。
ホイール クリーニングアップ終了後の画像です。
4輪全てホイール内側&表側共に、本来の発色を取り戻し組み込みに備えます。
続いてフロアーカウルのクリーニングへ…
近年のFerrariは、ダウンフォースをアンダーフロアーで稼ぐ為、マシンフロアー全面 アンダーカウルで覆われています。
中々オーナーが目にする事の無い部分です。
チェック&リペアまた、メンテナンスに伴い分解した、アンダーカウルやフェンダーライナー類。
分解したパーツは通常問題が無いので、そのまま組み込まれるのが一般的です。
分解パーツを1点1点リフレッシュする事で、見た目にもスッキリし、トラブルを未然に防ぐ事も兼ね全て組み込み前に表裏共にクリーニングアップします。
細部まで完璧にクリーニングアップを実施。
クリーンな状態で組込みに備えます。
リペア&メンテナンス同様に、隠れた箇所ほど重要です。
クリーニングアップ済みのアンダカウルも組み込み。
マシン全体の最終チェック&セットアップ。
チェックと同時に細部までクリーニングアップも終了。
続いて、全てのメンテナンス終了後の最終セットアップ。
入力されていたERRORコードなども、全てリセット。
また、センサー&アクチュエーターのアダプティブ。
電子制御部位は、Ferrari純正車両診断テスターSD2で最終チェックまた、セットアップを実施します。
メカニカル面も、担当エンジニアにより的確な最終チェックまた、セットアップが行われます。
独自のセットアップも終了。
最終クリーニングアップ実施後のエンジン&エンジンルーム。
Maintenance Reportでは全ての画像をアッブ出来ませんが、ポイントをオーナーに見て頂ける様、かいつまんでアップしています。
メンテナンス工程も詳細に撮影していますのでCD-Rで、お渡しします。
エクステリア&インテリアも最終仕上げ終了です。
全てのメンテナンス終了のFerrari F360 モデナ 。
こちらのMaintenance Reportには作業内容の1部のみを抜粋し掲載させて頂いています。
実施した全てのメンテナンス中の分解写真。
全て担当エンジニアが撮影致しております。
詳細な写真 133枚 (CD-Rに落として有ります)及び、今回のメンテナンス内容、また今後のメンテナンスメニュー書類も分かり易く作成していますのでマシンと一緒にお持ち致します。
今回メンテナンス御依頼有り難う御座います。
今後とも末永い御付き合いの程、宜しくお願い致します。