ウエッブサイトへの掲載を了承頂きましたので、随時画像の方をアップさせて頂きます。
いつも Ferrari F40 メンテナンス御依頼誠に有り難う御座います。
弊社4t積載車が、お引取りさせて頂きましたF40を積んでファクトリーに戻って参りました。
只今よりご入庫時のエクステリア&インテリアの傷などのチェックに入らせて頂きます。
今回も、ご期待にお答えする各部のチェック及びメンテナンスを実施させて頂きますので宜しくお願い致します。
Ferrari F40 定期チェック 開始の為、リフトセクションへと......
フェラーリ F40。
1987年末、フェラーリ創立40周年の記念モデルとして、当時89歳だったエンツォ・フェラーリ自身によりマラネロでプロトタイプが公開され、同じ年の9月に開催されたジュネーブ・ショーで正式に発表された、F40。
当初発表された予定生産台数は400台でしたが、殺到するオーダーを予測し、急遽増産。
結局1992年の生産終了までに1311台がラインオフ。
正規輸入車は59台、その内ストラダーレモデルが58台。
コンペティツィオーネ(F40 LM)が1台。
フェラーリ社内では「ル・マン」と呼ばれ、F1ドライバーのミケーレ・アルボレートも開発に携わったモデルでも有名ですね。
心臓部は、3.0L V8気筒32バルブにIHI製 ターボチャージャーをツインで武装。
288GTOのコンペティションモデル 288GTO Evoluzioneから引継ぎ、改良を加えた強力なインタークーラー式ツインターボ F120A型エンジン。
実はこのエンジンはランチアのグループCカーLC2のデチューン版。
最高出力は484ps
F40、208、288GTOなど、ターボチャージャーの心臓部には必須うのチェック項目があります。
フルパワーを100%発揮出来る状態であるかどうか.......
基本に問題が有るとエンジンブローも引き起こしかねません。
α-N タイプ インジェクションシステム。
常に定期チェックをご依頼頂いているマシン。
良いコンディションが保たれています。
続いて、メカニカル関連のチェック。
年数的、指定交換パーツ。
走行距離的、指定交換パーツ。
F40 モデル毎に傾向的不具合発生ポイントが存在します。
また、マシンの使用状況や、保管状態により、個々のマシンの状態が全く違いますので同時に的確なチェックが行なわれます。
指定交換パーツの中には、色々な素材のパーツが有ります。
代表的な素材の指定交換パーツの1部。
1 ラバーパーツなどは、光やオゾンによる酸化で弾性が失われ、亀裂や溶解がある程度の年数で起こってしまいます。
2 金属製パーツでは、継続的に、また繰り返しマシンより受ける衝撃や、恒に動いている作動パーツに金属材料としての強度が低下し、疲労が発生してしまうパーツ。
3 金属だけではなく樹脂パーツやカーボンパーツでも劣化は発生します。
指定交換に列記されているパーツでも必ず交換しないといけないと言うわけでは有りません。
的確なチェックで判断します。
ボディ各部は当時開発されたばかりのカーボン、ケブラーで構成されています。
構造部接着剤といった最新のマテリアルを組み合わせコックピットを囲むようにフレームへ固定した半モノコック構造のF40。
1988年からフェラーリ本社とスカリエッティの2ヵ所でF40の生産が行われ、まずスカリエッティの工房で、スチールパイプを溶接しフレームを製作。
それをマラネロのフェラーリでペイントし、再度スカリエッティに戻され、カーボンとケブラーのボディパネルを組み付け。
その後フェラーリ本社で塗装から最終アッセンブリーまで全てハンドメイドで行われラインオフされた独特の生産過程を持つF40。
キュタライザの無しモデルが前期型。
1990年からキャタライザーが装着されているモデルが後期型。
ボディカラーは、ロッソコルサ一色のみ。イエローやホワイトまた、ブラックのマシン有りますがリペイントされたものです。
全てを熟知したエンジニアが、細部まで的確なチェックを行います。
的確なチェックでベストなマシンの維持が可能となります。
センターがラジエター用クーリングダクト。
L/H R/H がブレーキ用クーリングダクト。
飛び石等でキズ付いてしまっています。
全てのチェックが終了したF40。
担当エンジニアが確実に現状のマシンの状態を把握し切らせて頂きました。
内容をまとめ、現状のマシンの状態を分かり易く明記し送付させて頂いた上、御連絡させて頂きます。
お打ち合わせさせて頂き決定しました今回のメンテナンスメニュー。
パーツ入荷次第、実作業に入らせて頂きますので宜しくお願い致します。
Ferrari F40 リペア&メンテナンス開始準備の為、リフトセクションへと…
リペア&メンテナンス開始です。
センターラジエター用クーリングダクト。
L/H R/H ブレーキ用クーリングダクトを分解。
パートナーの下で復元されます。
独自のクオリティーでリペア&メンテナンスを行う為、各部的確な作業が進みます。
油脂類の交換より開始です。
一言で油脂類と言っても、マシンには、色々な油脂類で潤滑や、油圧の発生による作動が常に行われています。
エンジンオイル&オイルフィルター ミッションオイル F1マチックオイル ブレーキオイル クラッチオイル パワーステアリングオイル エンジン冷却水などなど…
FerrariやLamborghiniなどのスーパースポーツマシンは高速走行などが多い為、エンジンオイルだけでは無く、他の部位のオイルも頻繁に酷使されるので確実なスパンでの交換が必要です。
各油脂類は、色々と各社ラインナップが有りますが、メリットとデメリットが有り、マシンモデル毎また、使用する部位また、マシンの使用用途などを全て加味し、1番適切なオイルを、弊社では選択します。
メーカー指定純正オイルが1番無難と言えば無難なのですが、全てのモデルに1番適切なオイルかと言えば疑問です。
新車時のエンジンに注入されているオイルは、メーカー指定純正オイルでは無く、初期馴染みなどなどを考慮した、ファクトリー専用の非常に高額なオイルです(一般には流通しない特殊な高性能オイル)。決してメーカー指定純正オイルでは無いんです。
モデル毎にオイルに添加されている成分内容や粘度などなど…を変更しベストなオイルをチョイスし、交換する事により、より一層マシンをベストな状態へと導きます。
エンジンオイルでは、潤滑 冷却 防錆 応力分散 密閉作用 洗浄作用の6つの作用が求められます。
マシンやモデルまた、使用用途に応じてオイル成分や、粘度などなど……選択します。
まずブレーキオイルの交換。
現状のブレーキオイル&リザーバタンクの状態。
ブレーキオイルの交換時期はオイルの色などでも簡単な判断はできますが、交換基準はあくまで使用期間、水分吸収量、劣化で判断します。
サーキット走行後は、ブレーキに与える熱量が非常に大きい為、熱によるブレーキオイルの膨張などが繰り返され劣化が急激に進みます。
通常のストリートでの使用また、乗らなくても1年毎の交換をお奨めします。
ブレーキオイルは吸湿性が高く大気中の水分を吸収する為、期間の経過と共にブレーキオイル内の水分量が多くなり沸点が下がってしまいます。
そのまま使用し続けるとハードブレーキを繰り返したときにブレーキオイルが沸騰し気泡が発生し、踏力によって発生した圧力は気泡を圧縮するだけで制動力を発生させることができず、ブレーキが効かなくなります。
これをベーパーロック現象と言い、大変危険な現象の一つです。
ハードブレーキはしないから…と思うオーナーも多いでしょうが、発生する不具合はこれだけでは無く色々な不具合を発生させます。
ブレーキオイルの水分吸収量が多くなると、キャリパーピストンに錆が発生しピストン固着やブレーキの引きずり、片効き等々を引き起こします。
ブレーキマスターシリンダーよりブレーキオイルを抜き取ったタンク内部の画像。
浮遊物が若干発生しています。
通常このままオイル交換される場合が多いです。
浮遊物がブレーキシステムに循環すると思わぬトラブルや、2次的不具合に繋がりかねません。
完璧にクリーニングを行ってから交換に入ります。
ブレーキ系統による危険性を良く理解したうえでメンテナンスを行いましょう。
続いてクラッチオイルの交換。
ブレーキオイル同様クラッチマスター オイルをまず抜き取った画像です。
リザーバタンク内部に大気中の水分を吸って加水した浮遊物が貯まっています。
この状態では構成パーツに悪影響を与えるばかりか、作動不良またオイル漏れを引き起こしてしまいます。
ブレーキオイル交換同様に、浮遊物を完璧にクリーニングアップし新しいクラッチオイルを給油圧送し交換します。
一般的なクラッチオイルは、ポリエチレングリコールモノエーテルが主成分で構成されています。
これに酸化防止剤 防錆剤等が添加されています。
グリコール系は吸湿性が高く、湿気を吸うと沸点が下がってしまいます。
ただ、吸湿しても沸点を比較的高く維持できるようにホウ酸でエステル化してあります。
水分があってもエステル結合で加水分解されますが、定期スパンで交換しないと加水分解が飽和状態になります。
ブレーキオイル同様、クラッチオイルも、1年に1回の交換が必要です。
クリーニングアップ開始です。
リザーバタンク内部を完璧にクリーニングアップ。
同時に周辺部分もクリーニングアップを実施。
新しいブレーキオイルを給油圧送しオイルライン最後部より交換終了。
同じくクラッチオイルも同様に...
続いてミッションオイルの交換。
エンジンオイルの交換はオーナーが1番気にし交換されますが、ミッションオイルも忘れてはいけない油脂類の1つ。
ギヤーの焼き付きを避け、またシフトフィーリングまでよくなるミッションオイル。
シフト操作をするとミッション内部で大きなギヤーが噛み合ったり、外れたりしますよね。
ギヤーオイルには、潤滑 冷却 防錆 応力分散の4つの作用が求められます。
エンジンオイルでは、これに加えて密閉作用や洗浄作用が要求されますがギヤーオイルの場合この効果はほとんど必要が無いでしょう。
それよりも重視されるのが応力分散作用ですね。 この作用がしっかりと発揮できるミッションオイルを使用しないと、ギヤーの焼き付きなどのダメージに繋がったり、シフトフィールの悪化に直結します。
マシンの特性やモデルまた、使用用途に応じてオイル成分や、粘度などなど……選択します。
ドレンボルト インナー&アウターもキッチリクリーニング。
続いてオイルアウトレットのリペア&メンテナンスに入ります。
現状の状態。
ガスケットの交換。
分解と同時にパイピング、 ボルト、周辺部分もリフレッシュ。
ユニットのメンテナンス。
F120A型ユニットを熟知したエンジニアが、細部まで的確なメンテナンスを行います。
フレームを含む他のセクションも細部まで的確なメンテナンスを行います。
続いてサスペンションシステム&ブレーキシステム関連のメンテナンス。
300k近くで走るロードゴーイングマシン。
定期的な、足回り&マシン全体のトルク管理が必要です。
各部の調整と同時に、締め付けトルクのチェックまた各部の動きが機敏になるメンテナンスも行います。
また、同時に分解時にしか出来ないフェンダー内部の隅々まで、クリーンニグアップも実施。
中々オーナーが目にする事の無い部分。
また、雨天使用しなくてもダストや、砂などが付着してしまう部分。
現状のフェンダー内部の画像です。
リヤーフェンダー内部です。
フロント同様メンテナンスを行ないます。
フロント 足回りのメンテナンスまた、クリーニングアップ後のサスペンションシステム。
ダストや、砂などをクリーニングアップする事により、本来の機能がより機敏になると共にクリーンな状態を取り戻しました。
独自のクオリティーでメンテナンス&クリーニングアップを随所に施します。
フロント同様、メンテナンス完了のリヤーセクション。
F40のブレーキキャリパーはレーシングマシン同様のブレーキキャリパー。
特別なメンテナンスも実施。
続いて現状ホイールの画像です。
ブレーキダストなどの汚れが付着してしまっているホイール。
4輪全てクリーニングアップ開始です。
ホイール クリーニングアップ終了後の画像です。
4輪全てホイール内側&表側共に、本来の発色を取り戻しました。
同時にクラックチェックも実施。
中々オーナーが目にする事の無い部分です。
チェック&リペアまた、メンテナンスに伴い分解した、アンダーカウルやフェンダーライナー類。
分解したパーツは通常問題が無いので、そのまま組み込まれるのが一般的です。
分解パーツを1点1点リフレッシュする事で、見た目にもスッキリし、トラブルを未然に防ぐ事も兼ね全て組み込み前に表裏共にクリーニングアップします。
細部まで完璧にクリーニングアップを実施。
カウルステッカーも復元。
クリーンな状態で組込みに備えます。
リペア&メンテナンス同様に、隠れた箇所ほど重要です。
各部メンテナンスと同時に施工する、クリーニングアップ。
各部の仕上げは、レザーの素材、ペイントの素材、各部の構成パーツなどなど….. 素材を熟知したエンジニアにより、部位部位に1番適した、本来の素材を蘇らす意味での仕上げが行われます。
ケミカル用品で一時的に艶を出す様な安易仕上げは、一切行われません。
各部のクリーニングアップは全て作業の一貫と考え行います。
マシン フロアー部分も完璧にチェック&メンテナンスも終了。
チェック&メンテナンスと同時に関連部分も全てクリーニングアップ。
クリーニングアップ済みのアンダカウルも組み込み。
センターホイールナット。
専用SSTを使用し確実なトルク管理の下、ロックします。
マシン全体の1つ1つの構成パーツには、基本締め付けトルクが存在します。
通常基本トルクに沿い組み込みますが、マシン毎また、部位毎に変更しないとダメなポイントも有ります。
独自のノウハウで変更します。
ボルトや、ナットの径では勿論の事、材質や、硬度また部位によって締め付けトルク表が有ります。
それぐらい重要な事なんですね。
センターラジエター用クーリングダクト。
L/H R/H ブレーキ用クーリングダクト。
復元前の画像。
復元後のグリル。
古いペイントを全て剥離。
飛び石が当たって凹凸が在った部分も修正。
カーボンダクトも現品修正。
クリーニングアップを行い組み込み。
メカニカルのリペアやメンテナンスも同様、基本が1番大切ですね。
どのポジションを基本と考えるかで全てが変わります。
復元したR/H ブレーキ用クーリングダクトを組み込み。
同じくL/H
続いて、センターラジエター用クーリングダクト。
分解し細部まで修正。
復元後のリヤーグリル。
全て純正色で復元。
マシンが引き締まりました。
続いて最終チェックに入ります。
チェックと同時に細部までセットアップを行います。
ユニットも同様にチェック&セットアップを行います。
最終チェックと同時に細部まで徹底したクリーニングアップ。
独自のセットアップも終了。
最終クリーニングアップ実施後のエンジン&エンジンルーム。
Maintenance Reportでは全ての画像をアッブ出来ませんが、ポイントをオーナーに見て頂ける様、かいつまんでアップしています。
メンテナンス工程 新旧パーツ画像も詳細に撮影していますのでマシン完成時に全てお渡しします。
エクステリア&インテリアも最終仕上げ終了です。
全てのリペア&メンテナンス終了のFerrari F40。
こちらのMaintenance Reportには作業内容の1部のみを抜粋し掲載させて頂いています。
実施した全ての、リペア&メンテナンス中の分解写真、また新旧のパーツ画像。
全て担当エンジニアが撮影致しております。
メンテナンス工程 新旧パーツ画像も詳細な写真 175枚 (CD-Rに落として有ります)及び、今回のチェツク内容、また今後のメンテナンスメニュー書類も分かり易く作成していますのでマシンと一緒にお持ち致します。
いつもメンテナンス御依頼有り難う御座います。
今後とも末永い御付き合いの程、宜しくお願い致します。